5月28日に、ウインクあいちにて、「医療事故調査制度の実情と課題 ~運用開始から半年を経て」と題して、医療事故相談センター総会記念シンポジウムが開催されました。
シンポジウムでは、加藤良夫弁護士、永井裕之氏(患者の視点で医療安全を考える連絡協議会:患医連)、杉岡篤医師(藤田保健衛生大学副学長)、兼児敏浩医師(三重大学医学部付属病院 医療安全・感染管理部部長)にパネリストとなっていただき、それぞれの視点から見た医療事故調査制度の現状についてご報告をいただきました。
私も、シンポジウムの冒頭で少しお時間をいただき、医療事故調査制度開始までの経緯や施行開始からこの間の運用状況について、概説的にご報告をさせていただきました。
【中日新聞・中日メディカルサイトより(2016年5月29日)】
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20160531141939831
※掲載されている写真は、別の講演会のものが使われてしまっているようです。
当初の見込みでは、年間1300~2000件の届け出があるものとされていましたが、医療事故調査・支援センターに医療事故として届け出がされたのは222件にとどまっています(2016.5.10現在)。
その理由のひとつに、「予期せぬ死亡・死産」という医療事故の定義のあいまいさがあると指摘されています。
シンポジウムでも、この点が議論のひとつにのぼりました。
充実した調査を行うという意味では、ただ数が多ければいいというものではないのかもしれませんが、きちんと調査が行われるべき事例が埋もれてしまうことには問題があります。
この点について、上記記事にもありますように、杉岡医師から、ひとまず死亡事例について一次報告をし、その中から調査が必要な事例を選定していけばよいのではないかとのご意見があり、個人的にはなるほどと思いました。
そんな折、厚労省から社会保障審議会・医療部会に対して医療事故調査制度の運用改善策をまとめたものが報告されたそうです。
【朝日新聞・デジタル版より(2016年6月10日)】
http://digital.asahi.com/articles/ASJ697HTXJ69UBQU018.html
届け出の対象となる医療事故かの判断に対する統一基準の検討に向けた協議会の設置や、遺族からのセンターへの相談が医療機関に伝わる仕組みの検討が盛り込まれているようです。
まだ、厚労省のWebサイトには資料がアップされていないので、具体的にどのような報告がされたのかがわからないのですが、情報が得られ次第、追ってご報告したいと思います。