(一社)日本医療安全学会が今年3月に開催した学術集会の講演において、遺族を「遺賊」と表現し、「遺“賊”が求めているのは金と医師・看護師への処罰であって、原因究明や再発防止は関係ない」などとの発言があったとの報道がされました。
【YOMIURI ONLIE】
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160827-OYT1T50094.html
患者やその遺族を愚弄するものであり、怒りを覚えるとともに呆れ返りました。
1999年に立て続けに起きた重大な医療事故事例を受け、医療安全というものが社会的に注目されるようになってから15年以上が経ちます。
その間、医療安全部門を担当する医療者の方々を中心として、医療の現場では大変な思いをしながら医療安全を構築するための努力が続けられてきました。
今回の発言は、患者や遺族を愚弄するばかりでなく、そうした方々の努力や苦労をも踏みにじるものであることを、この発言者は自覚すべきです。
しかも、日本医療安全学会が公表した理事会決議による声明文によれば、この発言をしたのは同学会の役員(上記報道記事によれば代議員であるようです)だというのですから、実に嘆かわしいことです。
日本医療安全学会は、医療安全文化の向上を図り、患者中心の医療を充実させることを目的としていますが、今回の発言が同学会の目的に反するものであることは明白です。
こうした発言を平然とする人物が同学会の構成員(しかも役員)であるということには、大変強い疑問を覚えます。
なお、上記声明文でも、かかる発言については不適切であり容認しないものと結論づけられています。
【(一社)日本医療安全学会・「学会発表における不適切発言について」】
http://www.jpscs.org/member/2016Sep26Notice.pdf